夕方になり、赤い光が強く差し込んでいた。
「頬の傷、治ったんですか?」
今日はいつもの公園ではなく、学校の廊下だった。サボりを常習化している二人は、学校でもよく鉢合わせる。
それは、不自然なほどに。
「ああ、うん。何でか分からないけど」
藤内は微妙な顔をしていた。
「春からずっとしてたから、てっきり治らない傷でもあるのかと思ってましたけど」
藤内は傷があったであろう頬を人差し指で撫でた。
「ただ、傷が消えた時に少しおかしいこともあって」
いつになく真剣な藤内に、永峰も少し緊張していた。
「どんなことですか?」
「何か、大切なことを忘れてしまった気がするんだ。……変な話だけど」
「大切なこと」
「なあ、永峰」
藤内はこちらを見た。いつになく真剣な表情で、
「お前は何でこの学校に通っているんだ?」
緊張は冷や汗に変わり、心臓が飛び出しそうなくらいバクバクと鳴っている。
「どういう意味ですか」
絞り出すように答えた。
藤内は永峰の手を掴む
「分かるんだ、お前が異質な存在だって」
どこか不安定な瞳は、触れた手から何もかもを見透かしている気がして、永峰は無意識に手を引っ込めていた。
「だとしたら、俺をどうするんですか?」
藤内は無表情のまま、
「どうしたらいいんだ、教えてくれ」
永峰は笑った。

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