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部屋、小さくて圧迫感のある部屋。さっき別れたはずの藤内と永峰はそこで反省文を書かされていた。
「君たちさ、いつになったら懲りるわけ?」
いつもお馴染みの生徒指導、志水先生。まだ20代(ギリ)らしく、背が高くて可愛いというよりかは美人顔。明るい色の髪を後ろで1つにまとめている。
先生はほとんどが厳しい人ばかりだが、この人はとても気さくだ。
「毎回反省文書かせてもこれなんだし、むしろ先生達が懲りるべきだと思うけど」
藤内がつぶやく。永峰も「全く、本当に」と思いながら口には出さない。
本人たちは気付いていないが、この2人は学校内でも名の知れた違反者である。
「あのね君たち、一応この高校は名門校なの。学校としては君たちみたいなの困るんだよね」
「でも私、成績優秀だし。退学されたら困らない?」
そう、藤内はこんなだが優秀な生徒なのだ。ただ、向けられる興味の方向がかなり変わっているだけで。
「追い出しなんてそんな”悪い”ことできないわよ。ま、更生するまで永遠に嫌がらせさせられるから覚悟しなさい」
「まるで教育機関とは思えないな」
続いて先生の目は永峰に向く。
「あなたは何でこう、人畜無害そうなのに」
「人は見掛けによりませんね」
反省文を書きながら発せられる言い慣れたような軽口に、志水先生はがっかりしたようにため息をついた。


それからは全員が大人しく、カリカリと反省文を書く音だけが部屋に響く。が、その沈黙は程なくして藤内が書き終えた反省文を机に叩きつけた音で破られる。
「じゃ、私は教室戻ります。お先!」
そう言って風のように去っていった。扉がガタンと閉められる。
「あいつは近年稀に見る問題児だな〜……」
志水先生は、呆れを通り越して感心したような口ぶりで呟く。
「じゃ、俺も」
永峰もいつの間にか書き終えており、藤内とは対照的にそっと扉の奥に消えていった。
「……さて、問題児たちの反省文でも読んで暇を潰すか」
 

ーーー
☆MEMO
志水先生こそ、割と問題児である(児ではないが…)。


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